講習会、講演会のお問い合わせは

hlpmekaru@handball-mekaru.com

までご連絡ください。

 

ハンガリーの育成を考える。少年期のハンドボール環境をよくする。大事なことはやっぱりこれです。

IMG_6352 (1)

日本リーグの改革案が発表されてブログに書きましたが、

いまのトップを引き上げることも大事だけど、

小学生低学年の充実、

小学生年代の普及、育成も大事ではないか?

というコメントもありましたので、

いい機会だと思い、ハンガリーの少年期のハンドボール環境をお知らせします。

先日、ハンガリー在住でお子さんがハンドボールをしている

鷲尾さんがフェイスブックにまとめてくださったものですが、

フェイスブックをされている一部のの方にしか伝わらないのはもったいなので、

鷲尾さんのご了承を得て、メカルのブログにも転載します。

以下、鷲尾さんがまとめてくださったものです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

① 子どもハンド事情外観と、年齢の分類・考え方

ハンガリーでは、石を投げればすぐ当たるほど、ハンドボールクラブが沢山あります。

標準的には、クラブの中に2年刻みの年齢別チームがあり、
男子だと、U8、U10、U12、U14と偶数。
女子はU11、U13と奇数。
年齢の区切りの仕方は、リーグでの分類に準じています。
男女でなぜ奇数、偶数年と異なるかは不明です。。。今度コーチに聞いてみます。

練習は週3回、90分が標準型。
10歳以下の子の練習時間は、もっと少ないです。
逆にU14くらいになると「週5回+試合1日」というクラブも出てきます。
こういうクラブは、毎年国内10位内に入るような強豪チームで、将来プロを目指すような子供たちがどんどん集まってきます。
(でも1回の練習時間は90分です)

さて、ハンガリーで一番メジャーな「子どもリーグ」は

当然のことながらハンドボール協会主催で、
年齢層により、次の2つの部門に大きく分けられています。
男女混合はありません。

(1) 「小さい子の部」 ⇒男子、女子ともにU7、U8、U9、U10

(2) 「子どもの部」⇒ 男子U12、U14; 女子U11、U13

この分類の仕方は、おそらくハンガリーの初等教育が8年間で、
◎前半4年(6-10歳)
◎後半4年(11-14歳)
と、カリキュラムも指導方法も分けて考えることからきていると思います。

ハンドボールでも、(1)の小さい子たちは、年齢に応じてコートもゴールも小さいのから、試合時の人数も3人+キーパーから、ボールも最初はスポンジボールからです。試合時間は10分x2から。年間の試合回数も15-20回程度です。 

このくらいの年齢の子たちは、「球技導入時期」であり、まずはボールを使って手足コーディネーション、その他の身体機能を高めるのが目的。
また試合も、勝つことよりも慣れる、楽しむ、ルールを学ぶ、チームプレイを体験することに重きが置かれているようです。
(ま、それでも試合を応援する保護者は、ついつい熱くなっちゃうんですけどね・・笑)

(2)の10歳以上になると、もう少しハンドボールという競技へのコミットメントが深くなり、コート全面使用、試合時の人数も6人+キーパーです。(ただし試合時間は20分x2)
年間の試合回数は、35回程度に増加します。
(このくらいになると、もう応援する保護者の方もめちゃ熱くなってしまいます。)
また親として感じたのは、(1)ぐらいの年齢層だと、親の方も、子どもにいろんなスポーツや芸術を試させてみよう、その中から好きなのを選ばせようという感じ。

ですから、U10くらいまでは、クラブの出入りも非常に多いです。
先週まではいたのに、「今週は水球やってみます」みたいに。
また、週3日の練習というのに、他のお稽古事があるので1日、2日だけしか出ません、というケースも多いです。
メンバーが定着してくるのは、やはりU12くらいから。
逆に言えば、12、13歳になると新参者はほとんどいません。

【ハンガリー少年少女の1年、そして規則は生き物②】

ここでは、(2)の大きめの子どもリーグ中心にお伝えします。
単に、自分の息子がU14のためです(笑)

【ハンガリー少年少女の1年、そして規則は生き物②】
大きめの子たち(10-14歳)のリーグ

※ちなみに、リーグの各ブロックは地名ではなく、過去の偉大な選手の名前がついています。※

この年齢層は、学年でいえば小5から中2に相当します。
リーグはざっくり、こんな感じです:

〇期間: 9月~5月 (合計、35試合程度)

〇試合の頻度: 2週間に1度 土曜か日曜。(1日に2回試合あり)

〇試合時間: 20分x2 (休憩5分)

〇コート: 全面

〇試合人数: 6人+ゴールキーパー (1回の試合につき最低12人~最大14人を登録する。)

〇ボールの大きさ:
U14男子⇒2号
U13女子⇒1号
U12男子⇒1号
U11女子⇒0号
(U12、U11は今季から松ヤニ禁止)

各リーグの出場チーム数は、と言うと、

【男子】
U12: 142チーム
U14: 133チーム

【女子】
U11: 133チーム
U13: 156チーム

すごい数です(笑)
ハンガリーの人口は、980万人。
単純な人口比で計算すると、東京都に、男女別で2歳刻みのチームが200チーム弱ずつあるのに匹敵します。
つまり小5から中2までの年齢層で、合計800チーム!!
これはまぁ、欧州大陸では野球の存在がゼロ、というのが大きいですね。

ハンガリーの面積は、北海道より少し大きい程度。
年齢ごとにそれぞれ約20のブロックに分かれてのリーグになります。

1ブロックにつき6-8チームくらい。
試合では、「ホスト役」が輪番制で回ってきて、当たったチームは責任を持って体育館を借り(たいていはホーム)、ミニビュッフェなども用意します。
こんなに試合が沢山出来るのも、チーム数が多いことに加えて、国土が狭く、移動が比較的容易ということがあるでしょう。

リーグでは2回総当たり。
勝ち2点、引き分け1点、負け0点。この辺りは、プロリーグと同じです。
そこで高得点の上位チームが、お隣のブロックの高得点チームと闘い、、、、と段々進みます。中位、下位チームも地元ブロックだけで終了ではなく、それぞれお隣ブロックの中位、下位チームと試合を続けます。
審判は、協会に登録している有資格者が有償でやります。

あと、これはハンガリー・オンリーの規定なのかは不明ですが、
男女ともに、前半20分のうち10分したら、選手全員入れ替えルールというのがあります。
また、登録選手は全員、試合中に1回は絶対に出さないといけません。
全員に経験させるために、「ベンチを温めるだけ」というのは無しです。

もう1つ、前半の最初の10分間のディフェンスは、3:2:1でなければいけません。
また、前半はずっと6:0は禁止。
息子に聞いたところ、「いろんなディフェンスの形を、学ぶためじゃない?」とのことでした。
本当かどうかは定かではありません、すみません。
後半20分は自由です。が、大人のようにディフェンス要員、オフェンス要員で交替させるのは禁止。
なお、これらを守らない場合は警告を受け、それでも直らない場合の罰則規定もあります。

【ハンガリー少年少女の1年、そして規則は生き物③】

ハンガリーは、国家の法律も電光石火の勢いで改正されますが、
子どもリーグシステムも、今季、「あららー!」と言うほど変っていました(笑)。

中でも最大の変化は、リーグ内の分け方。
② で書いた「地域によるブロック分け」は去年までの標準型で、U11、U12では今季も踏襲されています。

しかし男子U14、女子U13は、
今季はなぜか、
強い順に、
「1部」
「2部」
「3部」
のカテゴリー分けがまずあり、
それぞれの中でブロック分けに変更されていました。

こんなのは、初めて!!

「1部リーグ」を制したチームは、「全国優勝」のタイトル獲得。
2部、3部リーグは、全国はなし。日本的に言えば、「県」⇒「関東」⇒「東日本」止まりという感じ。
1、2、3部のカテゴリー横断での試合はありません。

ちなみに、うちの息子のチームは「2部リーグ」に入っていました。
もちろんこれは、過去の成績から見て至極妥当なのですが、

誰がどういう基準で振り分けるのだろう???と思い、
協会がアップしていた『大会要項』を読んでみたら、

「自己申告制」でした!!(笑)

なぜ、こういう「上」・「中」・「下」みたいな分け方になったのでしょうか。

おそらく、強いチームと弱いチームでは、県レベルのリーグで繰り返し試合をしても「お互いのためにならない」と考えたんでしょう。
なにしろ、40-50点くらいの差がつくのは当たり前。
弱いチームは、負け続ける。
あれでよくモチベーションがもぎ取られないもんだ、と半ば感心して見ていたくらいです。

また従来も、県レベルリーグの後は、複数の近隣ブロックが合体し、いずれにしてもレベルの近いチームどうしで闘ってきました。

だったら、最初から、
「強いチーム」は「強いチーム」と、
「弱いチーム」はまず同等レベルのチームと試合し、力の底上げを狙ったのかと、、、。

しかし、この大胆な変革には、反対、慎重意見もあったことと推察します。
だいたい、「自己申告制」というのが、どれほど妥当なのかということからして。
かと言って、協会側が決めると絶対に反発が来る。
またカテゴリー間横断の試合がないので、例えば2部の上位チームは、1部チームと闘う機会はなくなる。

そんなことから始まって、枝葉の議論を始めれば、切りはないでしょう。

それでも敢行するというのは、、、20年近くハンガリーに住んで見てきた経験からすると、
「取りあえずはやってみよう。初年度で問題が出て来たら、それは次に解決していこう」という考えなんだと思います。

日本では制度、規則はなかなか変更されないし、変更には熟考に熟考を重ね、ものすごく時間がかかったりします。
誰しもが現状の問題を理解してはいるものの、いざ策を取ろうとすると、「あちら立てれば、こちらが立たず」の状況がでてきて、結局不満はくすぶりつつも現状維持のまま、ということもありますね。

しかしハンガリーは速いです。ここの人たちは、「既存の制度、規則は絶対」とあまり思っていません。
そういう意味では、規則も制度も「生き物」のようです。
もっとも、なんでも速くコロコロ変化するので、混乱をよく招くし、予見可能性や制度安定性はとても低くなります。

日本とハンガリー、足して二つに割るくらいが丁度いいです。(笑)

両方の文化を経験して思うのは、何かを変革させるとき、慎重さは必要だけれど、臆病になってはいけないということ。
変革で生じうる問題点すべてを埋められるほど完璧にしないと、変革そのものにストップをかける人たちはどこの世界でもいます。
けれど、考えてみてください。
不完全な人間が創りだすものは、規則だろうが何だろうが、どうしたって不完全です。
でも、だからと言って、逆に「所詮、ダメだ」とニヒリズムに浸る必要もありません。
より良いものを目指す、となったら、その不完全さの中で前に動こうとしなければなりません。
トライアル&エラーという言葉があるように、前進にはエラーが付き物。

変革に向けて一歩踏み出そうとするとき、些末な議論に足を取られて道を誤らないように導いてくれるのは、結局は理念であり、ミッションでしょう。

ハンドボールでいえば、そもそもなぜ国内で子どもリーグを組むのか。
『大会要項』にはこんな風に書かれていました:

「協会がリーグを開催する第一の目的は、チームの勝敗を決定するためではなく、選手たちが、ハンドボール技能向上に欠かせない試合経験を積む機会を与えること、試合の決まり事を体得することである。」

これこそがミッションで、そこは動かない。
でもそれを達成するための手段は、複数あってもおかしくない。

ということで、協会もリスクはあるけど、新しいやり方に挑戦、、ということでしょう。
シーズンしょっぱなから親の私も驚きましたが、新制度が楽しみであったりもします。
以上お付き合いいただき有難うございました(^^)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

鷲尾さん、お仕事で翻訳や記事を書いたりしているんです。

だから文章も読みやすくてわかりやすいですよね。

システムて的なことも大事ですが、

やはり、ミッション、理念という部分ですよね。

子どもたちにとって最も大事なこととは何か??を考えた時、

子どもたちプレーヤーが第一に考えられていると思います。

子どもたちがハンドボールを楽しむこと。

ハンドボールを通して学びを経験すること。

それをトップの組織が導くというか、ある程度の方向付けをしていく。

メカルは思うけど、ハンガリーにできて日本にできないことってあまりないと思う。

もちろん、国土が小さいから移動のフットワークはハンガリーの方がいいけど。

大人とか、施設とか、そんな都合ではなく、

いま、ハンドボールをしている子どもたち、選手たちのことを

第一に考えて、規則もルールもあるけれどそれをフレキシブルに、

柔軟に変化対応させていけたらいいなと思います。

もちろん、日本ハンドボール協会にも目的があります。

日本におけるハンドボール競技界を統轄し、代表する団体として、ハンドボール競技の普及及び振興を図り、もって児童・青少年の健全な育成及び国民の心身の健全な発達に寄与し、体力の向上と豊かな人間性を涵養することを目的とします。

そしてこれが日本リーグの理念

日本ハンドボールリーグの理念

HPにも載っていますが、なかなか見る機会はないですよね。

日本のトップの組織も、こうやって目的や理念をもって活動しています。

ただ、鷲尾さんがおっしゃてるように、

人間というものは不完全であるという前提のもとに、

不完全な人間が作っているものに完全はない、、、と考えると、

幅広く意見を求め、方向付けをし、再分配し、

建設的、生産的、継続的、発展的な話し合いをしていきたいですね。

強化と、普及と、育成はつながっています。

国内で20人しかプレイしていなくて、

国民のほとんどは知らないけど世界一。

という競技を目指すのであれば、普及はいらないかもしれません。

バスケットやバレーの長身選手やラグビー選手を

ハンドボールにコンバートするのであれば、

他国の選手を帰化させるのなら、育成はいらないかもしれません。

そもそも、世界と戦うのではなく、日本国内で楽しめることを目指すのであれば、

強化そのものがいらないかもしれません。

日本協会の目的には世界という言葉はありませんが、

日本リーグの理念には世界と戦える、、、とあります。

日本リーグは日本協会の傘下にありますから、

日本協会も日本を代表する組織として世界を目指していることになると思います。

そこで、普及もするし、育成もする。

もちろん、選手だけではなくて、審判も運営も一緒になって、

ハンドボールをより良いものにしていけるように力を合わせていく。

選手も指導者も保護者も地域も行政も商店街も商工会も企業も官公庁も巻き込んで、

より良くしていく。

それが大事ですよね。

でもさ、やっぱりさ、プレーヤーズファーストだわけよ。

それが理念にあって、根底にあって、大事にされないといけないものだと思う。

もちろん、組織はルールを作って、秩序を維持しなければいけません。

だけどですね、ルールや決まりや縛りが一番で、

大人の、何とかのドンと呼ばれる人の都合が優先されるようでは

長く健康的にハンドボールは展開されないでしょうね。

皆さんの周りはどうですか?

自分の子どもが、孫に現場をお勧めできますか?

自分はいい思いをするけど、自分の子どもにはお勧めできないというのは、

あまり良くないですよね。

万人が、ハンドボールっていいよ。絶対やった方がいいよ、

絶対見に行った方がいいよ、って誇りをもって、

自信をもって言えるようにしないといけませんね。。。

メカルもそう言えるかな。。。

結局は何といっても指導者だからな。。。

鷲尾さんがまとめてくださったハンガリーの現状。

皆さんの中で何か新しい気づきや発見がありますように。

長くなりましたね。

7000字弱あります。

ここまでご一読くださりありがとうございます。

明日という日もこれまでの続き☆

シェアする

フォローする

コメント

  1. ハンド大好き より:

    記事読ませていただきました!
    小学生での育成の現状…いいですね
    ただ、地方のメジャーではない県で
    原石の子供達に、もっともっとハンドボールへの視野を広げれる環境作りが大切だと思います。私の子は中国地方です。もちろん今回のU19には、知り合いの選手が2人も出場しています。身近に…大きな存在があると小学生は近付こうと頑張れます。本当にU9.10.11.12があれば、選ばれたい!選ばれるにはどうしたらいいかを考える力が持てる様な気がしますどうせ低学年だから出れないから…高学年の練習に参加できないし、人数がいないから…試合できないしと諦めざるおえない状況…
    やはり、環境の改善が何よりも1番ですね

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。